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ポルトを見るには川向こうの名前も読まねばならない

ポルトに付けてある文は「川向こうに酒の倉庫が並んでいる」だ。ここでまず目に入る言葉は、酒より 「川向こう」のほうである。都市を説明する一文が、すでに向かい側を指している。地図の中心にポルト という名前を置いても、話はその名前の下だけにとどまらない。

ドウロ川の南、向かい側の都市は ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア だ。ポルトガル観光局は、ここの ポートワインの貯蔵庫と熟成の歴史を紹介している。ポルトという名前で思い浮かべた風景の一部が、 行政上は別の都市にあるということだ。一枚の川辺の風景を読むのに、都市の名前が二つ必要になる。 ポルトガル観光局のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア紹介

川をたどると倉庫の位置が理解できる

ポートワインの話はドウロ川の流域に始まり、ガイアの熟成庫へとつながる。観光局の資料は、かつて ラベーロ船でワインを運び、倉庫で熟成させていた過程を説明している。このつながりを知って地図を 見ると、川は二つの都市を分ける境界であると同時に、内陸と河口を結んでいた移動の道でもある。

川辺を想像するとき、倉庫ひとつの内部までこしらえる必要はない。まず水の流れを見つけ、両岸の名前を 読み、川が海に届く方向を確かめる。それで十分だ。酒に関心がなくても、ものがどこから来てどこに とどまったのかを追っていけば、都市の配置が少しずつ読めてくる。

ポルトの歴史地区は、ドウロ川の河口を見下ろす丘に沿って発達した。ユネスコの登録名称には、歴史 地区とともにドン・ルイス1世橋、セラ・ド・ピラール修道院も入っている。川辺を平らな帯としてだけ 考えるより、水際と丘、そして向こう岸を一緒に置くべき理由である。 ユネスコのポルト歴史地区の解説

西の都市へ向かう線が北を向く

ポルトの内蔵座標は 41.1579, -8.6291 だ。ソウルから大圏で測った距離は 10,168 km、 出発方位は 北北西 である。ヨーロッパの西の端へ向かうのに、はじめから地図の左へだけ動くので はない、というところが面白い。球面上の最短経路を平面に広げると、線は北へふくらんで見える。

サービスの経路資料には、東アジアからロシアと北欧を経て、フランス、スペイン、ポルトガルへ続く 流れが現れる。この線は実際の航空機の運航経路ではない。国境や航空路を考慮せずに二つの座標を 結んだとき、地球の上でどの方向へ進むのかを示している。

距離の換算に使う時速850kmと地上移動0.5時間を当てはめると 約12.5時間 だ。行程表に書き写せる 所要時間ではないが、1万kmを超える隔たりの規模は伝えてくれる。京都までの837kmを思い出せば、同じ 画面のなかの二つの目的地がどれだけ違う距離に置かれているかを比べられる。 京都の距離の話

長い移動の果てに、また川ひとつ

ポルトは Europe/Lisbon の時間帯を使う。時間帯の規則上、ソウルより標準時では9時間、サマータイム では8時間遅い。ソウルが午後六時なら、ポルトはそれぞれ午前九時と十時だ。出発地で一日をほとんど 使ったと感じるころ、到着地にはまだ午前が残っている勘定になる。 ポルトガル観光局の時間の案内

ソウルから近い経由地の候補には 大連青島 がある。それぞれソウルから493kmと610kmで、 一か所ずつ経由したときの迂回率は1.01と1.04だ。長い旅程では、出発地の近くの短い移動が全体の距離に 占める割合は小さい。ただしこの比率は都市の座標どうしの大圏距離の比較なので、実際の乗り継ぎの 便利さを語ってはくれない。

10,168kmを描いたあとで地図を拡大すると、今度目に入る間隔はドウロ川の両岸だ。大陸を渡ってくる ときは目的地ひとつで足りたのに、着いてみると向かいの都市の名前が必要になる。ポルトでの仮想の 散歩は、そうやって終点をもうひとつ手に入れる。

データと読み方の基準

距離・方位・経由地の数値は、カウチコロンブスの内蔵都市座標とポルトのコンテンツ資料を基準にした。 原資料のソウルとの時差 -8時間はサマータイムに当たるため、本文には標準時も併記した。川辺の地理と 貯蔵庫についての説明は、上のユネスコ・ポルトガル観光局の資料を参考にした。

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